こんにちは。
南大阪(堺市・岸和田市・泉佐野市・和泉市など)を中心に、ご自宅やオフィスへお伺いして施術を行っている出張リラクゼーション「Re.vive(リバイブ)」です。
前回のブログでは、時間管理の「第二領域(緊急ではないけれど重要なこと)」に投資することが、未来の自分の負担を3分の1に減らすリターンになる、というお話をさせていただきました。
私自身も「本当にその通りだな。後回しにせず、自分の心と身体を大切に時間を先取りしなきゃな」と改めて身を引き締めていたのですが……。
それと同時に、ひとつの素朴な疑問が頭をよぎりました。
「そもそも私たちは、なぜ身体が悲鳴を上げる直前まで『まだ大丈夫』って思い込んじゃうんだろう?」
「ちょっと肩が重いけれど、これくらいみんな耐えているし」 「腰に違和感があるけれど、一晩寝ればきっと治るはず」
そうやって、身体が確実に出してくれているSOSのサインを、私たちは驚くほど綺麗に見過ごして(あるいは見ないふりをして)しまいがちです。
実はこれ、根性が「ある」とか「ない」とか、我慢強いとかそういう個人の性格の話ではないのです。
人間が生き延びるために脳に備わっている、ある強烈な「心理学のメカニズム」が関係しています。
その名も、『正常性バイアス(せいじょうせいバイアス)』。
今回は、この心が仕掛けるちょっぴり厄介な罠について紐解きながら、頑張り屋さんほど陥りやすい「隠れ疲労」の正体と、身体の声を客観的に聴くための優しいワーク、そしてプロの手を借りてその罠を優しく外すメリットについて、元理学療法士としての視点も交えてお話ししていきます。
心理学でいう「正常性バイアス」ってなに?
正常性バイアスとは、心理学や災害心理学の分野でよく使われる言葉で、「予期せぬ出来事や小さな異変が起きたときに、脳が『これは正常の範囲内だ』『大したことはない』と過小評価し、心の平穏を保とうとする心の働き(認知の偏り)」のことです。
人間は、毎日生きている中で様々なストレスや変化に直面します。その変化ひとつひとつに敏感に反応して「どうしよう!大変だ!」とパニックになっていては、脳のエネルギーが枯渇してしまい、精神が持ちません。
そのため、私たちの脳はあえて、
「うん、これくらい日常生活のよくあることだから大丈夫」
と自動的にフィルターをかけて、心を落ち着かせるセルフガード機能を持っています。つまり、正常性バイアス自体は、私たちが過度な不安を感じずにストレス社会を生き抜くための「大切な心の防衛本能」なのです。
しかし、この防衛本能が過剰に働いてしまうと、一転して大問題を引き起こす原因になります。
例えば災害時。「避難指示のサイレン」が鳴っているのに、「まぁ、いつもの訓練だろう」「みんな逃げていないし、うちの周りは大丈夫だろう」と思い込んで避難が遅れてしまう。これも正常性バイアスがもたらす代表的な罠です。
そして恐ろしいことに、私たちはこの罠を、自分の「身体の不調」に対しても全く同じように発動させてしまっています。
身体のSOSに対して発動する「4つの言い訳」
夕方のひどい足のむくみ、朝起きたときの首の寝違え、夕方になるとかすむ目、そして日常化してしまった頑固な肩こりや腰の重み。
これらはすべて身体にとっての「避難勧告のサイレン」です。
しかし、私たちの脳内で「正常性バイアス」が発動すると、以下のような【4つの優しい言い訳】を作り出して、そのサイレンを頭の中でミュートしてしまいます。
言い訳①:「これくらい、みんな同じだから」
周りの同僚や友人も「肩がこる」「腰が痛い」と言いながら働いているのを見て、「みんな耐えられているんだから、自分のこの痛みも『普通』の範囲内だ」と思い込んでしまうケースです。他人の基準と自分の身体の限界は全く別物なのに、都合よく比較して安心しようとします。
言い訳②:「寝れば治る、明日になればマシになる」
過去に「一晩寝たらなんとなく楽になった経験」にしがみつき、今回の疲労の蓄積は以前よりずっと深刻かもしれないのに、「明日になればきっと…」と根拠のない期待で問題を未来へ先送りします。
言い訳③:「忙しい時期が終われば落ち着くから」
「このプロジェクトが終われば」「今月の繁忙期さえ乗り切れば」と自分に言い聞かせます。しかし、不思議なことにその忙しさが終わると、また新しい「忙しい理由」が見つかり、結局身体を労るタイミングを失い続けます。
言い訳④:「まだ動けているから大丈夫」
これが一番の曲者です。「本当にダメな時は起き上がれないはず。自分は今日も仕事に行けているし、家事もできている。だからまだ大丈夫」という極端な基準を作ってしまい、限界の一歩手前であることを見落とします。
なぜ「頑張り屋さん」ほど罠にハマりやすいのか?
なぜなら頑張り屋さんの脳内では、高いモチベーションや責任感によって「アドレナリン」や「ドーパミン」といった興奮系の脳内物質がたくさん分泌されているからです。
これらの物質には、一時的に「痛みや疲労感を麻痺させる強力な作用」があります。
精神的な充実感や「やらなきゃいけない」という強い使命感があるとき、脳は身体の実際の疲労度(100%クタクタ)を、あたかも「20%くらいの軽い疲れ」であるかのように錯覚させてしまうのです。
「突然起きたアクシデント」だと思われているのですが、専門的な視点からお身体を触らせていただくと、筋肉の硬さや組織の緊張は何ヶ月も前から、それこそ地層のように積み重なっていることが分かります。
決して「突然」悪くなったわけではありません。脳の正常性バイアスとアドレナリンのせいで、限界寸前まで「疲れている実感(疲労感)」が麻痺していただけなのです。
心のバイアスを外すための「客観的」な3つの身体チェック
主観的な「大丈夫」はあてになりません。だからこそ、身体の動きや事実に基づいた簡単な3つの客観的セルフチェックをおすすめします。今日、その場でできるものばかりですので、ぜひ一緒にやってみてください。
チェック①:首の回転チェック(可動域の確認)
背筋を軽く伸ばして座り、首を左右にゆっくりと限界まで回してみてください。横を向いたときに、自分のあごのラインが「肩のライン」とほぼ平行になるまで無理なく回りますか?左右で向きやすさが明らかに違ったり、あごが肩まで届かない場合は、首や肩の深層筋肉がすでに限界近くまで硬くなっているサインです。
チェック②:深呼吸の「お腹と胸」チェック(呼吸の深さ確認)
仰向けに寝るか、椅子に深く腰掛け、片手を胸に、もう片方の手をお腹に当てて、思い切り深呼吸(吸って、吐いて)をしてみてください。息を吸ったときに、お腹と胸の両方が「ふわっ」と大きく膨らむ感覚がありますか?ストレスや疲労が溜まっていると、息を吸っても「胸だけが浅くペコペコ動く」という状態になりがちです。
チェック③:予定表の「空白」チェック(時間の事実確認)
ご自身のスマホのカレンダーや手帳の「今週と来週の予定」を眺めてみてください。誰の予定も入っていない、純粋に「自分の身体のメンテナンスやリラックスのためだけに確保された2時間以上の空白」が、月に2回以上ありますか?予定表が真っ黒な状態が何週間も続いている事実そのものが、身体が酷使されている証拠です。
※あくまで一例です☺
リラクゼーションがもたらす「脳と身体への2つのメリット」
実は、自分でストレッチをしたり、プロによる心地よいマッサージを受けたりする「リラクゼーション」の時間は、単なる気晴らしや贅沢ではありません。科学的にも、脳の正常性バイアスを力強く外してくれる、以下のような素晴らしいメリットがあるのです。
① 脳の防衛本能を解き、本当の状態に気づく(バイアスからの脱却)
忙しい日常の中では、脳が緊張状態(交感神経が優位)になり、疲れを覆い隠しています。しかし、意識的に深い呼吸を行ったり、優しく筋肉をほぐされたりすると、脳は「あ、今は敵もいないし、安全な場所にいるんだ。もう休んでいいんだよ」と判断します。
これによって副交感神経がグッと優位になり、張り詰めていた緊張の糸がほどけます。このとき初めて、「私、実はこんなに疲れていたんだ…!」と、正常性バイアスに隠されていた「本当の身体の状態」に客観的に気づくことができるのです。気づくことができれば、大ごとになる前に対策が打てるようになります。
② 本来の「健康な基準」を身体に思い出させる(ホメオスタシスの正常化)
私たちの身体には、常に状態を一定の健康な範囲に保とうとする「恒常性(ホメオスタシス)」という素晴らしい機能が備わっています。
しかし、疲労が日常化しすぎると、脳は「この疲れ果ててガチガチな状態が、今のこの人の『いつも通り(正常)』なんだな」と勘違いして、その悪い状態をキープしようとしてしまいます。
リラクゼーションによって一度心身を深いリラックス状態へとリセットしてあげることで、本来あるべき「自然治癒力」や「本当のリラックス基準(正常な状態)」を、脳と身体に優しく再学習させることができるのです。
このように、外側からアプローチをして「日常の『いつも通り』を一度強制的にリセットする」ために、プロの手を上手に借りてみるのも非常におすすめな方法です。
近隣の通いやすいサロン探しには、「ホットペッパービューティー」などの便利な検索サイトを活用すると、ご自身のライフスタイルや好みに合ったリラクゼーション施設をスムーズに見つけることができますよ。まずは近所のお気に入りスペースを探すような感覚で、気軽に覗いてみてはいかがでしょうか。
おわりに:完璧じゃない私たちが、一歩引いて自分を見るために
「これくらいの後回しは大丈夫」
「このくらいの疲れは、明日になればきっと消えている」
そうやって自分に言い訳をしては、週末にどっと疲れが出て「あぁ、またやってしまった……」と反省することもあります。
でも、だからこそ思うのです。
人間だもの、ついつい自分を過信したり、現実から目を背けたくなることだってありますよね。完璧に自分の状態をコントロールできる人なんて、きっとどこにもいません。
日常のバタバタの中にいると、どうしても自分の姿はプロペラのように激しく回転して、歪んで見えなくなってしまいます。
だからこそ、時には少しだけその日常の輪から一歩外に出て、自分の心と身体を「一歩引いたところから客観的に眺めてあげる時間」を作ってみてください。
1日5分、スマホの電源を切して自分の呼吸に意識を向けてみる。
鏡の前で「私の肩、ちょっと上がって緊張してないかな?」と観察してみる。
そんなふうに頑張っている愛おしい自分を、まるで親しい親友を見守るような優しい目線で、客観的に労ってあげてくださいね。
私も自分の「明日でいいや」貯金が爆発しないように、今日は少しだけ早めにベッドに入って、身体をゆっくり休んだりメンテナンスを行っていこうと思います。
みなさんの明日が少しでも軽やかで、バイアスのない心地よい1日になりますように。自分の身体を、たくさん労ってあげてくださいね。
